辺境音楽の病歴

ps. you rock my world

Christoph Schiller - Variations (another timbre)

f:id:descendere:20200606180214j:plain

 

played by Christoph Schiller

 

another timbreの諸作品には、音を「鳴らす」というよりも、音を「漂わす」という表現が当てはまると感じられる作品が多い。

サウンドを構築するだけでなく、同時に雰囲気を作り上げることで、ひとつの作品として成立している。

この雰囲気が非常に重要であり、この作品もその傾向が強いと感じられる。

 

更にこの作品からは、音を「配置する」というイメージも与えられ、実際に演奏者のChristoph Schillerはインタビューで下記のように述べている。

 

- - - - -

ピアノを弾くことなくピアノを使う方法を見つけようとした。つまりピアニストではなく、ピアノの音色をオブジェクトとして使うことです。

.

沈黙の主な理由は、他の要素が正式な影響力を持つためのスペースを提供したかったためです。

- - - - -

 

沈黙との対比によって、音の輪郭を明確にし、その美しさを際立たせることで、部分では難解な点もあるが全体では成功している。

無機的にも聴こえるが、徹底した自由さと自然さが作品としての成り立ちを支えている。